近年ではメディアの影響で、保護猫にも関心を寄せられるようになりました。その一方で、保護猫を引き取る条件は年々厳しくなっているのも現実です。ですが、それにはちゃんとした理由があります。
この記事では「厳しい条件をクリアにして保護猫と暮らせるようになる方法」について紐解いていますので、ぜひ参考にしてみてください。
なぜ保護猫が存在するのか?その背景と現状
猫の人気が衰えない中で、保護猫への関心も高まっています。しかし、そもそも保護猫はなぜ存在するのでしょうか?
その主な理由は、「捨てられた猫たち」が多く、外に放置されて野良猫となります。その結果、保護された野良猫は「保護猫」と定義されます。
保護猫を迎えることに関心を寄せるとともに、この背景を理解しておいてほしいと願います。
保護猫を迎える前に理解すべき「猫の生態」
家族として一緒に生活を共にしていた猫をどうして捨てることができるのでしょうか。主な理由としては、引越しや家族の中にアレルギー問題が発生したなど、それは猫自身ではなく人間側の問題であることがほとんどです。
猫を迎える前には、まず「猫の生態」を理解しておきましょう。猫を飼うことで直面するであろう可能性のある問題を知り、適切な生活環境を整えることが必要です。
水分量に注意しよう
猫は腎臓病にかかりやすい傾向があり、水分摂取を意識的に増やす必要があります。水を多く摂取できるように、複数の水入れや給水器を用意しましょう。
コミュニケーション不足によるストレス
猫はもともと夜行性ですが、家猫になると人間のペースに順応していけるようにもなります。
それでも夜中になって走り回ったり、鳴き声がやまない場合には、去勢や避妊手術を済ませていない場合や病気が隠れている可能性もあります。
去勢や避妊手術は済んでおり、食欲や元気さに問題なければそれは、コミュニケーション不足によるストレスが原因かもしれません。
猫は愛情を感じることでストレスが軽減されます。日々のブラッシングやおもちゃで遊ぶことが、猫のストレス解消に繋がります。
猫を迎える際の環境作り
猫は自由な性格ですが、安心して過ごせる場所を作ることが重要です。例えば、隠れ家を用意して、急な来客にも対応できるように配慮しましょう。これにより、猫はストレスを減らし、落ち着いて過ごすことができます。
猫を飼うデメリットを理解しておこう
猫は散歩が必要ないため、犬よりも手間が少ないと思われがちですが、実際には手間がかかります。
「小さくてかわいいから」とか「癒されるから」と安易な理由で猫を迎えると「こんなはずではなかった」と後悔することになります。
病気の兆候を見逃さない
猫は病気を隠すのが上手な生き物です。それは、野生の名残で天敵から身を守るための習性が残っているからといわれているためです。
猫がぐったりとした様子でおかしいと気付いた時にはすでに重症だった、といった状況を避けるためにも、日頃から猫の心身状態に注意を向けましょう。
食事量、水分量、排泄、気になった時の状態などを記録しておくことが大切です。
どこで保護猫を迎える?
保護団体や個人で保護活動している人から、愛護センター、保健所などがあります。
地域によって様々ではありますが、保護団体単独で行う譲渡会や合同で行う譲渡会などが主となりますが、近年の保護団体では、保護主の条件も厳しいのが現状です。
保護団体で断られたから愛護センターや保健所で、と考える人もなかにはいますが、愛護センターや保健所であっても譲渡の条件を厳しくしている地域もあります。
身分証明書の提示したり、誓約書を交わす必要があるのは、保護団体でも愛護センタ、あるいは保健所すべてに共通しています。
保護猫を迎える条件が厳しいのには理由があります
SNSでも「里親の条件として断られた」などの投稿を目にすることがあります。極端にいうと「保護主になれる条件」として当てはまる人って、ほとんどいないのでは?というくらいに厳しいこともあります。
その背景にはトライアルしても猫がすぐに戻ってきてしまったり、捨てられることもあるからです。ひどい場合は「虐待目的」といった歪んだ理由もあります。なので保護団体は慎重にならざるを得ないのが現実です。
猫の保護主になる主な条件とは?
保護団体や個人で保護活動している人が「猫の保護主の条件」として上げている主な内容について触れていきます。最低限、次の項目がクリアできなければ、猫を迎えることは見送ったほうが猫のためにも、自分自身のためにもなります。
室内飼育の約束
猫にとって外の世界は外敵が多く危険です。窓をロックしたり、猫が窓から逃げられないように対策しましょう。猫が外に出たがるからといった理由は通用しません。守れない場合には、猫を保護団体あるいは保護主さんに返さなければなりません。
終生飼育の意思確認
病気やけがで入院などで、一時的に家を空ける場合は、他にお世話を頼める人を探すことになります。かかりつけの動物病院、あるいはペットシッター情報にも目を向けましょう。
生涯に渡って、猫との生活が継続できない状況になれば、他に飼い主になってくれる人を探すことになります。どうしても見つけられない場合は、保護団体あるいは保護主さんに相談してみることです。捨てるのは論外です。
必要な時に医療にかかれること(病院に連れていけること)
猫にも保険はありますが人間ほの保険には内容は劣ります。それでも猫に必要な医療を受けさせるのは飼い主の責務です。猫にかかる医療費については念頭に入れておき、動物病院と相談しながら対処していくことがベストです。
家族全員が猫を迎えることに納得していること
猫のお迎えに反対している家族がいれば、猫も家族もお互いに不幸になります。猫を守るためにも家族に納得してもらう必要があります。どうしてもクリアできなければ「猫を迎えない」と判断することも愛情です。
猫アレルギーについて知っておこう
家族の中に猫アレルギーの人がいる場合もあります。あらかじめアレルギー検査を済ませておき、猫アレルギーの対症療法についても理解しておくとよいでしょう。
猫アレルギーを克服できなければ、もちろん、猫を家族に迎えることは諦めるしかありません。
猫の里親になるためのQ&A
猫を迎える準備はできたけれど、どうしても「乗り越えなければならない問題」に直面する場合もあります。次にあげる問題にはどのように対処したらよいのでしょうか。
一人暮らしであることを理由にお断りされた場合は?
日中は仕事のために長時間家を空けることが多い場合、一人暮らしの会社員のパターンですね。
何かあった場合は、猫のお世話を任せられる家族や信用できる友人、知人がいれば安心です。あらかじめ、家族や友人、知人に話をとおしておくとよいでしょう。実際に、里親の条件として保証人をつけるように要求されることもあります。
飼い主が外出先で事故などに遭った場合には、家の中に猫だけが取り残されることになってしまいます。普段から「猫が家にいます」メモを持ち歩く心構えも必要ではないでしょうか。
年齢がネックになるのは何歳以上ですか?
病気や寿命などにより警戒されるのは高齢者です。60歳以上であれば保証人をつけることを条件とする場合も多くあります。猫の寿命は15歳以上とされ、長生きできる猫では寿命が20歳くらいの場合も珍しくありません。
猫の年齢から「あと何年生きられる(一緒にいられる)」かを逆算して考える必要があります。なかには「55歳以上の人に子猫は引き渡さない」といった条件を上げる保護団体も存在します。
高齢者は猫を飼ってはダメですか?
猫を飼うための環境や金銭面、健康上の問題がなくとも、高齢者であるという理由だけで断られることが多くあります。
一方的に「ダメ」だと言って突き放すのは簡単ですが、猫との触れ合いを通じて心身ともに健康的かつ、猫を飼うことによる相乗効果も期待できます。
保護猫を迎えようと考えた場合に、事前に家族や知人にお世話を頼めるかどうかを確認しておくとよいでしょう。保証人を立てることによって譲渡できる例も多々あります。
頼める人がいない場合は北海道ツキネコの「永年預かり制度」を利用してみてはいかがでしょうか。
北海道ツキネコの「永年預かり制度」とは、高齢者で猫を飼いたい人が猫を「預かる」形で引き取り、猫と暮らすことができる制度です。
高齢の飼い主に万が一のことがあって飼育ができなくなった場合は「北海道ツキネコ」が猫を引き取る仕組みとなっています。
詳細は北海道ツキネコのホームページでチェックしてみてください。https://tsukineko.net/mycats/takecharge/
高齢者だけでなく、一人暮らしを理由に断られる20代~30代の人にも知ってほしいです。
まとめ
猫の里親になる条件は厳しくなる理由と、保護猫にまつわる背景について紹介してきました。
保護猫を迎える準備と長期間に渡るケアには、それなりの覚悟が必要です。しかし、それ以上に猫との生活には多くの楽しみがあり、癒しをもたらしてくれることでしょう。
ぜひとも猫の飼育に伴う責任を理解した上で、保護猫との新しい生活を始めてほしいと願います。
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